とある家族の嘘について

「ハーレイ、元気だった?」
「おう。今アイーシャもライナーも出かけてるから、茶くらいしかだせないけどな」

 数年ぶりに会う彼――ハーレイは、やっぱりちっとも変わってなかった。
 ボクらは普通の人間よりも、もっとずうっと長生きだから当たり前なのかもしれないけど。

「お前はでっかくなったなあ、ジーニアス」
「そりゃそうだよ。ハーレイは変わらないけどね」

 そう言ったら、彼はとんでもない、と首を振った。

「大幅に変わったぞ。父親になってからこのかた、俺の生活はちびどもに侵略されっぱなしだ」
「いいじゃない、楽しそうで」

「……そのうちそんなこと言ってられなくなるんだからな。お前『叔父さん』になるんだろ?こき使われるぞ」
「もうそうなってるよ」

 今日だって姉さんのお使いなんだから、と言うとハーレイはああそうか、と立ち上がった。

「ちびどものお下がり、取りに来たんだっけな。
 ベビーバスやらベッドやら、ボロくてその上かさばる物ばかりだけど大丈夫か?」

「平気でしょ。一応、荷物持ちも連れてきたから」
「……ああ、リフィル先生の旦那か」

「そ、物好きだよね」

 ボクはカップの中の紅茶を飲み干してから、窓の向こうに声をかけた。
 外でぶらぶらしてるはずの「義兄さん」は、それでもこちらの声が聞こえるところにいるだろうから。


「ゼロス!出番だよ!」









「はじめまして……でもねえか。確か巫女の儀式をやったときに会ったよな」

 かさばる荷物、の中でも特に持ちにくくて重いものを引き受けながら、ゼロスが言った。

「ああ。あの時はまさかあんたが先生の旦那になるとは思わなかった」
 ……っていうか、ボクも予想してなかったんだけどね。こんな展開。


「ま、俺も妹もハーフエルフだし?これから長いつきあいになると思うぜ」
「……は?あんたのマナはどう見たって人間の――」

「ハーフエルフ、だよ。
 ……ひょっとしたらあんたより長生きするかもな」

 ふふ、と意味深な笑いを浮かべながらゼロスが出ていって。
 ハーレイがぽつりと、つぶやいた。






「…………お前んとこって、経歴詐称ばっかりだな」

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こういう生活感あふれるネタは一番似合うと思います。私以外に楽しいと思う人いるかどうかはともかく。
ちなみに後半の台詞は天使化とかひょっとしてセレスもエルフの血を引いてて長命かもとか腹違いだとかそういう諸々を誤魔化す一言。