君の不在
次々と現れる敵を排除して、コレットとジーニアスが言った。
「わたしたちの武器は、愛と!」
「勇気と!」
「…………」
「……クラトスさん?」
無言のままのクラトスに、くるぅりと振り向いてジーニアス。
「駄目じゃない、『希望!』って言ってくれなきゃ」
「そうですよ〜」
にこにこと笑いながらコレット。
「……神子、それにジーニアス」
「何?」
「何だか機嫌が悪いように感じるのだが……」
クラトスの問いかけに、ふたりは口を揃えて言った。
ゼロス
「「だって がいないんだもん」」
プレセア
「……そうね、時間がもったいないわ。以前のように二手に別れましょう」
そんな風にリフィルが言ったのは、かれこれ二時間ぐらい前のことだったと思う。
「じゃあ、俺と……どうしようかな」
うーん、と考え始めたリーダー・ロイドに、ゼロスが声をかけた。
「とりあえず回復役は必須っしょ?あとは前衛に一人か二人いればいいんじゃねえの〜」
「あ、そっか。んじゃゼロスにプレセア頼むよ」
「……わかりました」
言うが早いか、プレセアは大きな斧を引きずりながらロイドの横に行く。
一方ゼロスはあっけに取られた表情で。
「おーいロイド君?そんな簡単に指名しちゃっていいわけ?」
「この前ゼロスが来てくれてすげえ助かったからさ!」
「……それってあれですかロイド君。コレットちゃんにプレセアちゃんにがきんちょの回復役皆無メンバーで外に出てグミもパナシーアボトルも尽きて毒状態で野垂れ死にしかけてた先日の」
「うん」
ぴたり。とゼロスは口をつぐんだ。ついですううぅ、と息を吸い込む。
「馬っっ鹿かお前!」
「な、なんだよ」
「回復っつーならまずリフィル様でしょうが!また毒で三途の川ぎりぎりまで行く気かよおい!」
ちなみに前回は野垂れ死に直前でゼロスが間に合ったものの毒状態を治すことは出来ず――そんな高等治癒呪文を使えるのはリフィルしかいない――ファーストエイドでどうにか体力を維持しつつ宿まで戻ってきたのだった。
最後のほうはゼロスの魔力が尽きるのが早いか皆の体力が尽きるのが早いかといったところで、あの時のことを思い出すとゼロスは頭が痛くなる。むしろもう二度とあんな状況にはなりたくない。
「……わかったよ。じゃ、最後のひとりは先生で」
「任せなさい」
ロイドの言葉に、頷くリフィル。
同時に、抗議の声があがった。
「え、ロイド。わたしもゼロスと一緒にいきたい」
「ボボボ、ボクもプレセアと……」
うーん、とロイドは頭をひねって、
「じゃあコレットとゼロスで交代して」
「……それじゃ意味ないよロイド」
「じゃあジーニアスと先生で交代すれば」
「いやだから毒であの世まで行く気かよハニー」
「それならプレセアとジーニアスで……」
「……ボクとプレセアで入れ替わってもしょうがないんだよ」
どうやらぽっかりと思考に落とし穴があるらしい。
コレットとプレセア、もしくはゼロスとジーニアスで交代させてほしいのだ――と、説明しようとしたのだが。
「……時間がないのよ。戦力的には問題ないし、はじめの案で二手に別れることにします。よろしい?」
リフィルの鶴の一声で、その話は打ち切られてしまった。
コレットとジーニアスが、不満そうにしていたのは覚えている。
その手の事に疎い自覚のあるクラトスでも、それは気付いていた。
……だがそのはけ口が自分だけというのはどういうことだ?
もう一人の同行者――リーガル――に目をやれば、さっさと先を進んでいる。
「クラトスさん、ほらほら!」
「…………」
笑顔のままのふたりを前にして、あきらめにも似た気持ちでクラトスは口を開いた。
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ロイド君はここまで馬鹿じゃないだろうと思いながらそのまま。
しいながいない時の話ですね。