てのひら
「一人でうろちょろすんなよ、ゼロス!」
「うろちょろ……ってこたあねーでしょう、ロイド君……」
散歩に出たのは、いつもの気まぐれ。
すぐ戻ろうと思っていたのだ――
しんしんと積もる雪から、目を逸らせなくなるまでは。
……本当は、見たくもないのに。
視線の先で、はあ、とロイドがため息をついた。
「……お前って案外迷子体質だよな」
「や、迷ってねえし――」
「いいから。ほら戻るぞ」
手を引いたロイドが冷てー!とわめく。
手袋ごしに伝わるほどに、冷え切った指先。
それでも繋いだ手は離さずに、ぐいぐいと進んでいく。
ふ、と。
「手が冷たい奴って、心があったかいんだっけ――?」
ロイドがそんなことを言うから、少しだけ驚いた。
「そんなの迷信でしょーよ」
「お前なあ……」
折角ひとが褒めたのに、と言う彼に。
聞こえないように呟いた。
「だってお前の手は、冷たくないもんなあ?」