ジェイドありえない表情5題・泣き顔
子どもがそう遠くない未来の死を宣告されてから、一週間が過ぎた。
「……つらいですか?」
「べつに、つらく、ないよ。ジェイドもいるし、みんなもいるし」
「意地っ張りですね」
「そうかな」
言葉と反対に、赤毛の子どもは泣きそうで
「泣きたいくせに」
「誰が泣くかよ」
……まったく、この子は。
口をへの字に結んだ子どもに、ため息をつきながら立ち上がる。
追ってくる視線をはねのけて、座り込んだのは子どもと背中あわせの位置。
視界には入らない、けれど温もりは感じられる場所から、言った。
「私はこちらを向いています。泣くなら今のうちですよ?」
「だから、泣かねえって」
「嘘つきですねぇ」
「……こっち、向くなよ」
「ええ、向きませんよ」
「…………うー……」
かすかな嗚咽も、ふるえる背もおさまってから子どもはこちらに声をかけた。
少しだけ、赤い顔をして。
「ありがと。……それと、みんなには言うなよ」
「はいはい。秘密にしておいてあげましょう」
「……ちぇ。また弱みをにぎられた……」
予想通りに。
眼鏡の奥の涙の跡に、子どもは気付かないままでいた。
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微妙にお題に沿ってない。