うそつきうたびと

「……なあ。ティアは俺を、見ててくれるのか?」

 『ルーク』はそう、彼女に訊いてみた。
 月の綺麗な夜だった。

 彼女は少しの間をおいて、うなずいた。

「ええ。私はあなたを、ずっと見ているわ。そう言ったでしょう」


「…………嘘つき」


 『ルーク』は知っている。

 あの時のルークはもういないのだ。

 だくだくと血のあふれる傷を、抱えて、耐えて、持て余して――
 そうして、ルークは自分を殺した。

 だからここにいるのは『ルーク』。あの時のルークではない。

 ……そんなことさえ、気付かないくせに。


「なにか言った、ルーク?」
「……何でもないよ、ティア」


 うそつきなうたびと。

 しってるのは『ルーク』だけだけど。

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スレルーク。を目指した割には何か違う。