猫かぶりの恋
ローレライを、解放して。
俺の身体が音素乖離を始めて、消えて、なくなるまで。
そんなに長い時間じゃなかったと思うんだけど、
たくさんのことをローレライと話した。
皆を幸せにしてみせろよ、と言われたけどできなかったよ。
よかったらだけど、代わりに世界中のみんなを見守っててくれないかな。
それで、もしできれば、少しでもいいから幸せにしてあげてくれないかな。
もう俺の命は終わりみたいだから。
透けていく、てのひらが時間切れを告げてきた。
ああ、ごめんなアッシュも。
せっかくまた会えたけど。
……ばいばい。
「どうして、……ここに?」
「……約束したからな」
俺じゃない誰かが俺の身体を動かして、そう答えた。
ゆっくりと、記憶の中よりも大人びたティアのほうに歩み寄って、そして――
その『誰か』は糸が切れたみたいに、俺の身体を動かすのをやめた。
「ルーク!?」
風が
空が
星が
大地が
……ティアの声が
五感に飛び込んできて、
俺の身体は、もう一度俺のものになっていて。
「……ティア?」
おそるおそる、口を動かしてみた。
本当なら俺の身体は消えていたはずで、
どうしてか分からないけれどまだ、ここに、あって。
心配させないで、と
涙がこぼれたままの顔で、ティアが笑って。
世界をめぐる、音素の中から
とりあえず五人ほど幸せにしてみた、と、おどけた声がした気がした。
>>Back
別人臭いローレライの台詞を書きたかったんだといったら怒られますか。